2008.08.14 (Thu)
射撃2
←射撃
それでは、射撃の難しさを考えてみましょう。
ここでは、エアライフルを考えます。
エアライフルは、弾の初速がマッハ0.5ほど、つまり、秒速160mほどであるので、この数値を使います。
空気抵抗などが一切ない状況を考えます。
重力加速度を9.8m/s2とします。
エアライフルを使うオリンピック競技は男女10mエアライフル立射であるので、的までの距離は10mです。
ちなみに、本射(予選)では、男子は60発(600点満点)、女子は40発(400点満点)です。
ここで、弾を水平に発射した時、的に当たるまでの時間t[s]は、
t= 10/160 = 1/16[s]
です。
この間に、弾が発射された位置よりx[m]下に下がったとすると、
x=(1/2)・9.8・t2=4.9・(1/256)=0.019140625≒0.019[m]
です。これは、1.9cmの誤差ということになります。
小さな誤差と思われるかもしれませんが、エアライフルの標的の直径は45.5mm、そして10点圏の大きさは0.5mmですので、水平に狙うのならば、10点の黒い点の1.9cm上方から撃たなければなりません。空気抵抗などは今は無視していますが、実際にはもっと誤差は大きくなるはずです。
ここで、ライフル(発射口)の標準の位置、角度というのを(勝手に)定義します。
標準の角度とは、水平、つまり地面とのなす角が0°、そして、標準の位置とは、標的の中心と同じ位置から1.9cm鉛直上方と定義します。
標準の角度を保ったままで、標準の位置からL[cm]ある方向に動かしたとすると、弾が標的に当たる位置も、中心からそのある方向にL[cm]動いたところになります。
ここで標準の位置から撃つことにし、標準の角度を1°ずらしてみましょう。
まず、左右方向に1°ずらすと、弾の当たる位置が10tan1°[m]左右にずれることはすぐに分かります。
三角比の表より、tan1°≒0.017であるので、0.17m、つまり、17cm中心から左右にずれます。
標的の半径は2.275cmしかないので、この時点でもう的には当たりません。
次に、鉛直上方向に1°ずらしてみましょう。
初速度を分解します。水平方向は、160cos1°[m/s]、鉛直上方向は160sin1°[m/s]です。
三角比の表から、cos1°、sin1°の値を求め、代入すると、
水平方向は160[m/s]、鉛直上方向は2.72[m/s]です。
よって、弾を発射してから標的に当たるまでが1/16秒であるので、この間に、鉛直方向の変位は、鉛直上方向を正として、
2.72・(1/16)-(1/2)・9.8・(1/256)=0.17-0.019140625=0.150859375≒0.020[m]です。
1°上にずれるだけで、弾は2cmも中心から上にずれるのです。
最後に、鉛直下方向に1°ずらしてみましょう。
同じように初速度を分解すると、水平方向は、160cos1°[m/s]、鉛直下方向は160sin1°[m/s]です。
三角比の表から、cos1°、sin1°の値を求め、代入すると、
水平方向は160[m/s]、鉛直下方向は2.72[m/s]です。
よって、弾を発射してから標的に当たるまでが1/16秒であるので、この間に、鉛直方向の変位は、鉛直下方向を正として、
2.72・(1/16)+(1/2)・9.8・(1/256)=0.17+0.019140625=0.189140625≒0.19[m]
です。
1°下にずれるだけで、弾は19cmも中心から下にずれてしまいました。
論外です。
このように、たったの1°が命取りになることが分かりました。
空気抵抗を考えると、もっと誤差が生じてしまうでしょう。射撃は、百発百中が大前提ですから、素人から見れば、それだけでもすごいことです。
そんな中で、満点の10点(ファイナルでは満点は10.9点)を、しかも大きなプレッシャーの中でマークするのは、やはり、それなりの訓練が必要なのですね。
→射撃3
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それでは、射撃の難しさを考えてみましょう。
ここでは、エアライフルを考えます。
エアライフルは、弾の初速がマッハ0.5ほど、つまり、秒速160mほどであるので、この数値を使います。
空気抵抗などが一切ない状況を考えます。
重力加速度を9.8m/s2とします。
エアライフルを使うオリンピック競技は男女10mエアライフル立射であるので、的までの距離は10mです。
ちなみに、本射(予選)では、男子は60発(600点満点)、女子は40発(400点満点)です。
ここで、弾を水平に発射した時、的に当たるまでの時間t[s]は、
t= 10/160 = 1/16[s]
です。
この間に、弾が発射された位置よりx[m]下に下がったとすると、
x=(1/2)・9.8・t2=4.9・(1/256)=0.019140625≒0.019[m]
です。これは、1.9cmの誤差ということになります。
小さな誤差と思われるかもしれませんが、エアライフルの標的の直径は45.5mm、そして10点圏の大きさは0.5mmですので、水平に狙うのならば、10点の黒い点の1.9cm上方から撃たなければなりません。空気抵抗などは今は無視していますが、実際にはもっと誤差は大きくなるはずです。
ここで、ライフル(発射口)の標準の位置、角度というのを(勝手に)定義します。
標準の角度とは、水平、つまり地面とのなす角が0°、そして、標準の位置とは、標的の中心と同じ位置から1.9cm鉛直上方と定義します。
標準の角度を保ったままで、標準の位置からL[cm]ある方向に動かしたとすると、弾が標的に当たる位置も、中心からそのある方向にL[cm]動いたところになります。
ここで標準の位置から撃つことにし、標準の角度を1°ずらしてみましょう。
まず、左右方向に1°ずらすと、弾の当たる位置が10tan1°[m]左右にずれることはすぐに分かります。
三角比の表より、tan1°≒0.017であるので、0.17m、つまり、17cm中心から左右にずれます。
標的の半径は2.275cmしかないので、この時点でもう的には当たりません。
次に、鉛直上方向に1°ずらしてみましょう。
初速度を分解します。水平方向は、160cos1°[m/s]、鉛直上方向は160sin1°[m/s]です。
三角比の表から、cos1°、sin1°の値を求め、代入すると、
水平方向は160[m/s]、鉛直上方向は2.72[m/s]です。
よって、弾を発射してから標的に当たるまでが1/16秒であるので、この間に、鉛直方向の変位は、鉛直上方向を正として、
2.72・(1/16)-(1/2)・9.8・(1/256)=0.17-0.019140625=0.150859375≒0.020[m]です。
1°上にずれるだけで、弾は2cmも中心から上にずれるのです。
最後に、鉛直下方向に1°ずらしてみましょう。
同じように初速度を分解すると、水平方向は、160cos1°[m/s]、鉛直下方向は160sin1°[m/s]です。
三角比の表から、cos1°、sin1°の値を求め、代入すると、
水平方向は160[m/s]、鉛直下方向は2.72[m/s]です。
よって、弾を発射してから標的に当たるまでが1/16秒であるので、この間に、鉛直方向の変位は、鉛直下方向を正として、
2.72・(1/16)+(1/2)・9.8・(1/256)=0.17+0.019140625=0.189140625≒0.19[m]
です。
1°下にずれるだけで、弾は19cmも中心から下にずれてしまいました。
論外です。
このように、たったの1°が命取りになることが分かりました。
空気抵抗を考えると、もっと誤差が生じてしまうでしょう。射撃は、百発百中が大前提ですから、素人から見れば、それだけでもすごいことです。
そんな中で、満点の10点(ファイナルでは満点は10.9点)を、しかも大きなプレッシャーの中でマークするのは、やはり、それなりの訓練が必要なのですね。
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